ALSとは
私たちは日ごろ手足や顔などの筋肉を、自分の思いどおりに動かしていますが、この筋肉を随意筋といいます。この随意筋を動かしているのが、脳からの命令を受けた運動ニューロンです。運動ニューロンとは運動神経細胞のことで、この細胞が侵されると、筋肉を動かそうとする信号が伝わらなくなり、筋肉を動かしにくくなったり、筋肉がやせ細ったりします。これがALSという病気です。
アメリカ合衆国のルーゲーリックという有名な野球選手がALSにかかったことから、別名「ルーゲーリック病」とも呼ばれています。
ALSは原因不明の難病として、厚生労働省によって特定疾患の一つに指定されており、医療費をはじめさまざまな公的補助が受けられます。
ALSは脊髄の運動ニューロンが侵され、筋肉が弱くなる病気です。
最初にあらわれる症状は、弱くなる筋肉の部位によって、以下のように大きく2つに分かれます。
ALSの症状が進行してくると、手足の麻痺による運動障害、コミュニケーション障害、嚥下障害の3つの症状に呼吸障害が加わります。しかし、意識や五感は正常で、知能の働きも変わりません。
頭重感や睡眠不足は呼吸障害の初期の症状です。呼吸筋がさらに弱くなり、自発呼吸が困難になった場合は、人工呼吸器の助けを借りることもあります。
ALSの病因については何らかの環境因子の関与、グルタミン酸過剰説、神経栄養因子の欠乏説、フリーラジカル説などさまざまな仮説が提唱され研究されていますが、現在までのところまだ結論は出ていません。また、約90~95%は遺伝と関係なく発生し、5~10%は遺伝性のALSといわれています。